過去40年間、地震、巨大台風、そして豪雨、豪雪が襲う日本を中心に、安全で安心できる長寿命建築の骨格を国内外25ヵ国、47都道府県に2500を超えるプロジェクトを展開してきました。そして、それらのほとんどが、阪神淡路大震災以来の大災害において被害を最小限に止め、再使用されることで震災復興の中心施設として活用されてきた実績があります。
これらの仕事の原点には、常に3つのコンセプトが軸にありました。
「それについて何が出来るか?= What can I do about it?」
「素材と空間を結ぶ構造デザイン= Structural design bridging material and space」
「素材が最も活きる構造デザイン= How to bring out the best of the material」
この3点をフォーカスすることにより、TIS & Partners を中心とするデザイン会社は地震国日本でも耐えうる「地震に強い建築と空間」を造り続けてきました。
そして、この40年間の自然災害との戦いの成果である数々のプロジェクトを振り返ってみると、そこには設計基準という地震国でクリアすべき安全の数値基準が先行するデザインに満ちた建築と空間であった。しかしながら、2500余りのプロジェクトの内、約1割余りのプロジェクトは安全を確保する数値基準だけでなく、素材固有性能を満足に引き出した建築の骨格となっていることに気づきました。それらはTISネットワークの小さな組織で開発され、実績を上げた2つの特殊工法が鍵となっています。一つは、老朽化した建物の寿命を2倍にし、その上インテリア性も優れた「ガラスと鋼製グリッドによる「ISGW」システム。そして、鉄筋コンクリートの骨格には、鋼材が木材で構成され、いわゆる柱梁で地震に耐えるラーメン構造ではなく、厚い壁と厚い床で空間の骨格を構成する「TWFS」が最も適しており、これらのシステムを使用した建築物においては、過去四半世紀に起きた大災害に襲われてもほとんど無被害で再利用が可能でした。
これらの成果は、空間の骨格を構成する素材とジョイントが望む骨格を追求し、「素材の語り」をくみ取りつつデザインした結果なのです。
以上の事から、「素材が語る」を新コンセプトとして掲げた「Material speaks design」を中心に現在の4つの株式会社(TIS & Partners、ISGW、iCO2 Lab、iNS Harmony)と2つの事業体(TWFS、iT Lab)のスクラムで41年目の第一歩をスタート致します。また、新しい試みの一つとして、iT Labではコンピューターが選考する世の中で欠けつつある理論と基礎技術に関する「Material speaks セミナー」も定期的に開催していきます。新組織「Material speaks」に是非、ご期待ください!
建築の寿命を延ばす外科医的建築家